A-2と言えばあまりにも有名なコントラクターのラフウェア社。計5回の納入を果たした同社のこのモデルは1942年契約の3番目にあたる。米陸軍航空隊は1942年の途中から“プロパティー・エアフォース”の表記を義務付けしたため、2枚のラベルを重ねて縫い付ける、いわゆる2段ラベルが特徴となっている。また、台襟の付いた大型の襟などラフウェア社らしい迫力のあるフォルムを持っている。このジャケットに使用されている革は、イタリア産の原皮を樹皮から抽出したタンニン槽に漬け置きし、濃度を変えながらゆっくりと時間をかけて鞣されている。丹念に鞣された後、職人の手によってシールブラウンのアニリン染料が擦り込まれている。多少の色むらがあるのは手作業ならではの証であり、革の愛好家からも好まれる仕上げである。アニリン染料で仕上げた革は、ラッカー仕上げと比較すると色に透明感があるので、使用感や経年変化で革自体に表情が出やすいのが特徴である。渋液と染料が革の奥底に宿るこのジャケットは、表皮が艶膜に覆われるまで着倒したい。
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